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2013年度情報検索能力応用試験2級後半の試験問題が解けなかった件について:NDCとUDCの比較

2013年度の情報検索能力試験の問題がウェブサイトで公開されました。
情報検索能力試験問題


今年、会社の都合もあり、初めて情報検索能力試験を受験しました。
元々図書館情報学に密接した内容ですので、経験者ということで基礎と2級をいっぺんに受けました。社内の図書館に関係ない人も数名受験しました。

そもそも、私はその日同会場同日開催された図書館情報学検定試験を受けたかったんです。
過去の記事のように、図書館情報学検定試験は過去何度か受験して、わりと良い成績取って、そのおかげで就職もできましたし、さあ今年も力試しするぞーと思っていたら受験できなくてとてもがっかりしたんです。
まあ仕方ないかと思って情報検索能力試験を受験したら、なんと情報検索能力試験にでた図書館情報学の問題が解けなかったのでした!
く、悔しい!

ということで、解けなかったこの問題はどう解答するのが適切だったのかという話です。


そもそも情報検索能力試験とは

情報科学技術協会(INFOSTA)が1985年から実施する情報検索能力に関する試験で、”学術情報等を検索し、検索結果の加工や評価、コンピュータ関連のITに関する知識や技能を問う試験”です。
(情報検索能力試験,サーチャー試験
情報検索基礎能力検定試験 - 資格の王道参照)
いわゆるサーチャー試験などと言われています。
受験者層は学生や社会人で、業務でデータベース検索などを行ってる人が多く受験しています。分野は医学からビジネス、特許など知財関係など幅広く、特に限定していません。
情報検索基礎能力試験と情報検索応用能力試験があり、応用能力試験は2級と1級に分かれています。2級は筆記試験(マークシート+記述式)のみ、1級は筆記と面接(口頭)試験です。
情報検索能力試験の歴史や成果については、山崎先生の論文が詳しいです。
CiNii 論文 -  情報検索能力試験25年の歴史からわかること(<特集>インフォプロ:過去・現在・未来)


肝心の問題

2013年度情報検索応用能力試験 2級試験問題(後半)※PDF


問 14 次の 2 種の分類法を読み、以下の問いに答えなさい。
(1) 分類法A 分類法Bの名称を答えなさい。なお、名称は正式名称でも略称でも良い。
(2) 分類法A,Bが対象とする資料は、それぞれ主にどのような資料か答えなさい。
(3) 分類法A,Bの図書館等における主な目的や適している事は何か答えなさい。
(4) 分類法Aの短所を述べなさい。
(5) 分類法Bの短所を述べなさい。


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こんな問題も分からなかったのwwwっていうのは自分でもそう思います。お恥ずかしい限りです。
もちろん分類Aはすぐ分かりますが、分類Bがわかりませんでした。筑波に6年もいてこれが分からないと言っちゃうのは、伝統ある大学にも申し訳ないですね。すみません。
でもまあ、図書館情報学検定試験なら甘んじて自分の不勉強さを反省するのですが…これ、情報検索能力試験なので、受験者は別に司書資格持ってるわけでもないんですよ。NDCの分類すら覚えているか怪しい。素直に解けた人はすごいなと思います。

これを解いたときは、分類法Bが分からなかったので、設問の趣旨から考えて、NDCとNLMC(米国国立医学図書館分類法)のように、総合的な分類と専門分野の分類を比較してるのかな、と思ったんですよね。NLMCはアルファベット表記ですし大体覚えてるので、それじゃないのは分かりますが、じゃあ自分の知らない専門分野の分類が他にあってそれなのかも、と推測で解いたら大外れでした。
後から考えれば、十進分類法なとこから考えれば一発なんですけどね。でも総合的な分類同士を並べてこの設問はおかしい!みたいな思い込みがあったんだと思います。


問題を解いてみる

(1) 分類法A 分類法Bの名称を答えなさい。なお、名称は正式名称でも略称でも良い。


分類法Aはみんな大好き日本十進分類法(NDC)です。
分類法Bは、国際十進分類法(UDC)でした。いまどきUDC使っている図書館ってあるのでしょうか。東邦大学もUDCからNDCに変えてましたし。
|月刊 センター長!|東邦大学習志野メディアセンター


というかそもそも、元々日本におけるUDC事業を担当していたのがINFOSTAですが、既に撤退しているんですよね。
CiNii 論文 -  UDC事業の撤退に伴うお知らせ*1
それだけ日本で使われなくなった分類ということなのかもしれません。


解けなかった問題を考える

(2) 分類法A,Bが対象とする資料は、それぞれ主にどのような資料か答えなさい。
(3) 分類法A,Bの図書館等における主な目的や適している事は何か答えなさい。
(4) 分類法Aの短所を述べなさい。
(5) 分類法Bの短所を述べなさい。


(2)以下の設問は、実はいまだによく分かりません。
”何を答えさせたいのか”が分からないので、適切な解答が想像できないというか。

NLMCのように、専門主題を持つものなら分類法によって対象にする資料が異なるのはわかるのですが…そもそも、NDCもUDCもどんな主題の資料でも分類できるように考案された分類法ですよね。
どちらもデューイ十進分類法(DDC)を元にしているのですから、どちらかといえば類似した分類法であるのは当然です。日本に向けたのが日本十進分類法国際基準なのが国際十進分類法です。もちろん、UDCは科学技術分野に強いとか、学術論文まで分類できるとか些細な違いはあります。が、ここでそれを答えさせるのはちょっと違う気がするのです。一学期まるまるかけてみっちり教えた分類法の期末試験ならまだしも。なので、正直(2)の解答はどちらも同じ文言をかかざるを得ない気がします。

(3)は、国際基準か日本で普及しているかという地域性に言及するしかないでしょうか。もしかしたら、科学技術分野の話を出してほしいのかもしれませんが、どちらも全ての資料を分類できるといった点では違わないですし。あ、でも(3)にだけ”それぞれ”などの文言がないため、”主な目的や適している事”は分類A、Bで共通のことを指していたのかもしれません。もしそうならちょっとわかりづらい気もします。

(4)、(5)ではなぜか別々に短所を聞いています。
NDCと比較して明らかであるUDCのデメリットが分からなかったので、INFOSTA発行の「情報の科学と技術」に掲載されていたUDCへの批判をみてみました。

5. UDCへの批判


(1) 標数が数字の羅列であり、直接対象概念と結びつかないので、親しみにくい。
(2) すべての知識を10に区分したこと自体に無理がある。それをさらに10ずつに細分していくことは、すべての主題が必ずしも10の細目に区分できるわけではないから、不自然で、無理を強いることになる。
(3) 10の区分に枠決めをすることによって、新しい概念を導入する場が阻害される。
(4) 基本的な体系が現在学問体系と合わなくなっている部門がある。
(5) 国際的であるということは、反面改訂に多くの人のコンセンサスを必要とし、標数の改訂に迅速な対応が難しい。
(6) 主題分析により抽出される要素が人によって異なる。したがって、インデクシングすると三人三様になる。
(7) 抽出された要素の配列順序が明確でないから、検索の場合に不安定要素が残る。


CiNii 論文 -  国際十進分類法(UDC)(<特集>分類について考える)


(1)から(3)までは、十進分類法への批判なので、これはUDCだけでなくNDCにもあてはまります。(5) は、NDCと比較して国際的であるのはUDCの大きな特徴ですが、かといってNDCがコンセンサスを必要とせず改訂に迅速な対応ができているわけでもないのでしっくりきません。(4)もNDCが現在学問体系と合致しているとは考えにくいです。
残るは(6)、(7)です。この話を持って来ようとすると、分類の概念分析だとか複合主題だとかいう話になりそうです。私の力不足でそこまでの話はできません…orz

細密に比べれば、地域性以外にも、UDCのファセット性やDDCを元にしたNDCがDDCとは違えた点(カッターの展開分類法を参考にしたとか)などが考えられます*2だがしかし。
何度もいいますがこれは情報検索能力試験の問題です。分類の授業の単位が欲しいわけではないのです。


結局

やっぱり考えてみてもよくわからないなー、というのが本音です。
(3)については、分類法A, B共通で、全ての分野を扱う図書館での資料の分類や配架などで解答できると思います。
(2)の「分類法A,Bが対象とする資料は、それぞれ主にどのような資料か答えなさい。」は・・・UDCは自然科学に強くて、NDCは日本の資料に強いとか?たしかにUDCは科学技術文献速報での使用が有名ですが。でもどちらも、特徴の1つではあるけれど、それ以外の資料を分類できないわけでもないですし、普通に全ての分野で使われています。「どのような資料」なので、図書館で管理する図書、とか?
(4)・(5)は、区別されていなければ、十進分類法のデメリットを挙げれば済むのでしょうけども。国際標準なので日本では普及していない、とか、海外では利用されない、とかになるのかなあ。
教えてエロい人。

まとめ:資格試験における作問の重要性

以前、図書館情報学検定試験の問題で海外の図書館の外観写真を出して、「この図書館の名称を答えよ」というものがあり、話題になったことがありました。それは問題として適切なのかと。
資格試験、検定試験の問題は、つまりその資格を持つ人はこれが答えられる人であってほしい、という検定者からの知的水準の要求なわけです。試験問題がその資格を形作っているといっても過言ではないでしょう。なので、資格試験における作問は非常に重要であり、その資格の生命線のようなものだと思います。
UDCが分からなかった時点で私に言えることは何もないですが、設問をみても少し違うかなーと思ったのでした。個人的には、NDCとUDCよりも、NDCとNLMCを比較したほうが、情報検索能力試験としても分類の試験問題としてもまだ分かりやすいというか。でも、「情報の科学と技術」にはUDCの記事はたくさんあっても、NLMCはほとんどないんですよね。



そんなこんなで、解答例を楽しみにしてます。

*1:現在は、ボランティアによって日本語版が作成・提供されているようです。詳しくは http://ci.nii.ac.jp/naid/110009562664 とか http://ci.nii.ac.jp/naid/110007227132 で。

*2:藤倉恵一. 図書分類雑感(http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/klib/nenpo/la02/la0218.pdf)