【著作権】結婚式で音楽を利用する方法~これから披露宴を挙げる方のために

※注意※この記事は法律や著作権について専門的な仕事や勉強をしていない一市民が書くものなので、内容が間違っている可能性は十二分にあります。ネット上の情報は常に疑ってかかるメディアリテラシーが十分に備わっている方のみお読みください。  

  

結婚式で音楽を利用する方法:結論

結論からいうと、結婚式で自分の好きな音楽を流したいときは、市販されているCDを購入し、披露宴中も原盤から再生すること、がベストです。
ただでさえ死ぬほど忙しい新郎新婦が、莫大な時間的・金銭的なコストを払って権利許諾を得るメリットはほとんどありません。
中古CDで揃えればコストも抑えられますし(必ずしも新品で買う必要はありません)、CDを買っとけば後から披露宴で使った音楽を懐かしんで聴くこともできます。一石二鳥です。
但し、権利許諾を得ることが不可能なわけではありません。どうしても使いたい音楽があり、そのためにはどんなコストも厭わないという方には権利許諾を得る方法にチャレンジしてみるのも良いと思います。
以下、前回の記事で不十分だった点補いつつ、理由を解説します。

※前回の記事※
humotty-21.hatenablog.com
  

演奏権と複製権

前回は、演奏権と複製権について触れました。簡単にまとめると、

  • 式場で音楽を流すこと(再生・実演含む)は演奏権にあたる。
  • 演奏権は新郎新婦ではなく式場が主体となる。たいていの式場はJASRACなど著作権管理団体と包括契約を結ぶことにより許諾を得ている。
  • (前回)問題となったのは複製権。
  • 複製権は音楽をコピーすること、演奏・再生されている音楽をメディアに記録すること(ビデオ撮影など)が含まれる。
  • 複製権は結婚式での使用に関しては権利制限が効かず、許諾を得る必要がある。

ということです。
これに対し、許諾を取ればいいじゃん!という考えを持っていたのですが、すみません、私が浅はかでした。
  
前回の記事にブクマでコメントを寄せていただいていたのですが

著作隣接権の言及がないけど、ISUMの意義はまさにその著作隣接権の処理にあると思われる。著作権複製権の処理ならJASRAC手続きは簡単すぎるし。

おっしゃる通りです。そうなんです。
音楽を複製するためには、著作権者の許諾だけではなく、著作隣接権の許諾が必要なのです。
  

著作権著作隣接権

ここでの著作権は、著作隣接権と相対する形での、著作権者が持つ権利としての著作権を指します*1
著作権法は、著作権者(その著作物を創作した人物)だけでなく、著作物を出版・流通するのに貢献したもの(著作隣接権者)にも権利を与えています。音楽CDの場合は、実演家(歌手)や、レコード会社が相当します。

  
著作隣接権は関係者ごとに持てる権利が異なっており、歌手やレコード会社もそれぞれ、著作権法上認められる権利が違います。
  
著作隣接権には演奏権がありません。
そのため、演奏権については、著作隣接権者の許諾を得る必要がないのです。
  
一方、著作隣接権者のうち、レコード会社には、複製権がみとめられています。
このため、私たちは、音楽CDを複製することの許諾を得ようとした場合、著作権だけでなく、著作隣接権の許諾を得る必要があるのです。

ここで問題となるのは、JASRACが管理しているのは著作権者の著作権(演奏権・複製権)のみであり、現状、著作隣接権の集中管理団体が存在していないということです。
  

著作隣接権の許諾を得るには~JASRACの功罪

  
日本ではJASRACのおかげで著作権の集中管理団体が批判されてばっかりですが、世界的には集中管理こそ最も良い方法だと言われていたりします。私もこのたびその理由に納得しました。
というのも、権利の許諾を個別に取るのが本当にめんどくさいし、金額も言い値だから馬鹿高かったりするし、集中管理じゃないメリットとか何があるのかな?と思ってしまったくらいです*2
  
さて、私たちがJASRAC管理の著作権の許諾を得たければ、JASRACで調べて申請すれば良いですが、著作隣接権の許諾を得ようと思った場合は、まずそのレコード会社について、権利許諾がどうなっているのかを調べなければなりません。
  

  • エイベックスの場合

当社商品の音源の利用について(著作隣接権に関して) | お問い合わせ | エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社
結婚式での利用についてはISUMへとありますが、ISUMでは個人の申請が現状ほぼ不可能です。
なので、個人で許諾を得る場合にはどうすればよいのか、エイベックス、あるいは日本レコード協会やISUMへ問い合わせる必要であります。
  

音源使用申請
小澤征爾のレコードが出ているこちらも、結婚式の利用における許諾申請はISUMから。ISUMは個人での申請ができないので、ISUMかどちらかに相談するしかない。
なお、利用金額の目安として出ているのは一曲50,000円~
  

FAQ | Warner Music Japan
個人での利用は著作権保護のため不可能であり、”イベント、自分で作る作品にアーティストの楽曲を使用する”場合は、直接連絡を取り要相談となる。
  
  
ISUMは結婚式の利用における著作隣接権の集中管理団体となりたいのでしょう。
しかし、ISUMは個人での申請ができず、式場・制作会社などの事業者を通じてでしか申請を許可しておりません。
ISUMのウェブサイトで、ISUMと提携している事業者の一覧が出ていますが、当然のようにごくごく一部ですので、それら以外の式場で結婚式を挙げる新郎新婦の取る手段は用意されていません。
創作物の公正な利用という観点で、このような措置が問題にならないのかは疑問に思います。これでは個人での創作物の利用に関しては、権利侵害に目をつぶると言わんばかりではないでしょうか*3
  
  

まとめ

  
著作隣接権の許諾を得る手段が現状確立されておらず、非常に困難です。そのため、最も簡単に音源を利用するためには、複製権を侵害しないことが良いでしょう。
音楽CDから音楽を再生することには、複製権は関与しません。複製権の許諾を得るための道のりを思えば、ちゃちゃっとCDを買ってしまった方が圧倒的に楽です。
この場合、中古CDでも問題はありません。100円でたたき売りされているものでも良いのです。
  
しかし、一生に一度の披露宴ですので、どうしても使いたい音楽の原盤のCDが手に入らない音楽もあるでしょう。もしくは、ムービーで音楽を編集して流したいという方もいるはずです。
かかるコストを厭わないならば、権利許諾を取ることも可能ですし、そうして心を砕いて企画された披露宴はとっても素敵なものになると思います。
  
  
ただでさえ難解な著作権法の仕組みを理解することは一市民には難しく、現状、著作権を遵守して生きることはほぼ不可能だと思います。
程よいお付き合いが大事だし、何より、一番に尊重されるべきは創作物の発展のために公正な利用を促したいという著作権法の理念ではないでしょうか。

*1:著作権があまりに多義語すぎるのが著作権を理解しづらくしている一因だと思います。

*2:寡占による金額の釣り上げは良くないので、2,3の団体で良心的な相場を守って上手く運営してほしいものです

*3:その点、問題は多いものの個人での申請の手段を用意しているJASRACは、まだ良心的であるといえる側面が、もしかしたらあるのかもしれません